2023年5月19日金曜日

日本医師会の会長選挙、安倍政権・自民党の介入で混乱 だまして選挙運動を阻止する形に

新型コロナだから選挙しない…だまして選挙運動を阻止する形に

 2020/06/26 日本医師会において、会長選挙が行われるとのこと。私は選挙が悪いとは思いません。新型コロナウイルスでたいへんなときなのに…との声もあるそうですが、それもやむを得ないかなという感じ。
 ただ、問題だと思ったのは、だまし討ちのようになっていたこと。「新型コロナウイルスでたいへんなときだから会長を引退するから選挙はしません」と言って、相手の選挙活動をやめさせていたのに、「やっぱり出る」となっていたこと。これは、さすがに問題があると感じました。

 <日本医師会長選挙「仁義なき権力闘争」の大混迷 こんなときに、現職が「辞める」を2度翻意>(東洋経済オンライン / 2020年6月18日 17時30分 辰濃 哲郎:ノンフィクション作家)によると、不出馬表明は2度行われていたそうです。
https://news.infoseek.co.jp/article/toyokeizai_20200618_357102/
 現職の横倉義武会長は、まず2020年3月に会長選挙に出ると見られていた中川俊男副会長を呼んで、「国難の時期だから争う姿を国民に見せたらあかん。あとは任せるつもりだ」として、内部抗争は避け選挙には出ずに会長職を譲る約束をします。中川俊男副会長もこれを信じ、選挙運動さえ控えていました。
 ところが、5月後半には再び出馬する流れに。このときは東京で新型コロナウイルス問題の渦中にあった尾崎治夫・東京都医師会長が説得して、事なきを得ます。しかし、再び考えが変わって出馬することになったという記事でした。2度に渡って中川副会長に「不出馬」を伝えたことは、横倉義武会長自身もネットで発表しているようです。



 日本医師会の会長選挙、安倍政権・自民党の介入で混乱

  ところで、気になったのは、横倉義武会長が「政治家や役人の間での中川の評判が、よろしくないんだよね」と言っていたこと。これは会長の資質というよりは、政治家や役人との仲の良さの問題のようです。
  中川俊男副会長は、医師会内で政策通として一目置かれるエース的存在で、舌鋒鋭く医師会の主張を展開します。ただ、この押しの強さが厚生労働省の役人や政治家から反発を受けているとされていました。
 一方、 横倉義武会長は厚労省や政治家からも「落としどころを心得ている」など高評価。安倍晋三首相や麻生太郎財務相とも懇意だといいます。
  記事の作者の辰濃 哲郎さんは、「選挙戦に入って、自民党から地方医師会へのプレッシャーは激しさを増している」と書いていました。自民党が介入しているということですね。また、「政治に支配された日本医師会」という書き方もしていました。
 安倍政権・自民党の介入によって、日本医師会の会長選が混乱し、だまし討ちのような卑怯なことも起きたということのようでした。

自民党に近い候補がまさかの会長選挙敗退、理由は?

 2020/06/28 他にも追記したいことがあったのですけど、会長選挙の結果が出たので先にこの話を。日本医師会は2020年6月27日の会長選挙で、副会長の中川俊男氏を新会長に選出。私は自民党に近い現職が勝つと思っていたので予想外でした。
 日本医師会、8年ぶりトップ交代 新会長に中川氏  :日本経済新聞は、理由について、「新型コロナの感染拡大を受けてオンライン診療の規制緩和が政府主導で進んだことなどへの反対意見や、(引用者注:新型コロナウイルス対応のために引退と言っていたのを覆して出馬した)横倉氏立候補の経緯もあり、中川氏に支持が集まった」としていました。
 なお、この日経新聞記事でも現職の横倉義武さんについて、「安倍晋三首相など自民党とのパイプが太い」と書いていますね。なので、負けたのは予想外だったわけですが、ひょっとしたら日本医師会内でも安倍政権への不満が溜まっていたのかもしれません。


日本医師会そのものは自民党の有力な支持団体、自民党の党大会でも表彰!


2020/07/02 すぐに書いておきたいと思っていたのに遅くなったのですけど、日本医師会そのものはもともと自民党と仲が良い団体なんですよ。別に昔は反自民だった…といったことではありません。横倉義武会長があまりにも安倍政権とベタベタすぎてあれだったというだけで、中川俊男さんになってもこの関係はそこまで変わらないかもしれません。
 日本医師会と自民党の仲に関しては、例えば、自由民主党の友好団体 - Wikipediaに日本医師会に関する記述があります。2010年(平成22年)1月24日にグランドプリンスホテル赤坂にて執り行なわれた、第77回自由民主党定期党大会にて『友好団体(本部推薦)』として表彰された諸団体だとのこと。自民党側から推薦があったんですね。相思相愛な感じです。
 『友好団体(本部推薦)』としては、宗教関係だと、有名な神道政治連盟の名前がありますし、教育関係ですと、全私学連合会(日本私立大学団体連合会?)や全日本教職員連盟(学校の先生の組合)などの名前があります。日本医師会はそのものの名前はないものの、日本医師会の政治団体「日本医師連盟」が医療系の筆頭で載っていたのです。それだけ大御所なのでしょう。
 Wikipediaだけじゃなくてマスコミ記事のソースも…と思っていたら、前回引用の日経新聞記事でも書いてくれていました。日経新聞は安倍政権に近いと言われますので、ちょうど良い情報元ですね。日経新聞記事の場合、「日医の会員は約17万人おり、自民党の有力な支持団体」と書いていました。

自民党に反対意見を言った日本医師会の会長、わずか1期で引きずりおろされる


2020/07/05 なお、自民党が日本医師会の会長選挙に介入したのは、初めてではなかったそうです。
 最初の東洋経済オンラインによると、 植松治雄会長の時代にも、問題が起きました。植松治雄会長は、自民党の小泉純一郎政権と「是々非々で向かい合うべき」と対峙することが多くありました。是々非々というのは、全部同意…などとするのではなく、良いことは賛成、悪いことは反対するといった意味。当たり前の話なんですけどね。
 ただ、この当たり前の姿勢は自民党では許されません。 是々非々の植松治雄会長に対し、日本医師会が推薦していた2人の自民党参院議員が唐澤祥人さんを擁立し、政治との距離感を争点にします。2人の自民党議員は全面的に唐澤祥人さんをバックアップ。政治介入と批判されながらも、最終的には50票近い差をつけて圧勝し、植松さんはわずか1期で引きずりおろされることになったそうです。
 この歴史からすると、中川俊男・新会長が安倍政権に逆らうことが多かった場合は、また自民党の介入で引きずりおろされる…といったことが起きるかもしれませんね。