2023年4月23日日曜日

中国の若者たち「不正をするトランプ大統領や安倍首相を生んだ民主主義の何がいいの?」

 安倍首相は中国に協力するな!中国に批判的な遠藤誉・東京福祉大学国際交流センター長


2020/08/01 最初に遠藤誉・東京福祉大学国際交流センター長の過去記事を紹介。遠藤誉さんは親中ではなくむしろ反中、中国に批判的な人だとわかってもらうため。
 例えば、安倍首相、一帯一路協力表明--中国、高笑い(ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 2017年6月7日)は、安倍首相が中国に協力しすぎだと批判する記事でした。

<安倍首相は(引用者注:2017年6月)5日、東京都内で開催された国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)の夕食会で講演し、中国の巨大経済圏「一帯一路」構想に関して、条件が揃えば日本も協力していきたいと述べた。その詳細は首相官邸ホームページの「記者会見」にある>
<今年が日中国交正常化45周年であり、また日中首脳会談を行いたいという安倍首相の政治的判断ではあろうが、あまりに多くの危険を伴う>



香港国家安全維持法でのマスコミのデマ「習近平は民主主義を恐れている」「一国二制度は終わった」「民主主義的な自治を終わらせた」


 そんな中国に批判的な遠藤誉さんの記事で驚いたのが、香港国家安全維持法に対する日本のマスコミの批判的な報道は的外れだと指摘していたことでした。習近平はなぜ香港国家安全維持法を急いだのか?(遠藤誉) (Yahoo!ニュース 2020/7/7)という記事の話です。
  例えば、香港国家安全維持法を「新型コロナウイルスのどさくさに紛れて」というのは、大嘘だと指摘。この法改正は2019年10月末に開催された四中全会(中共中央委員会第四回全体会議)ですでに決議されており、新型コロナウイルスがなければ2020年3月5日に開幕したであろう全人代の最終日に議決したはずだとしていました。つまり、新型コロナウイルスでむしろ遅れたということみたいですね。
 また、「一国二制度は終わった」とか「約束を破って民主主義的な自治を終わらせた」とかも嘘。もともと 「一国二制度」は社会主義と資本主義であり、民主主義は保証していないと指摘。香港の高度の自治を守るという原則は基本法に書いてあるというのは事実ですが、もともとこの基本法は全人代常務委員会の管轄下にあると規定されており、ルール違反でもないとのこと。遠藤誉さんは中国に批判的なのでこれを評価しているわけではなく、「中国のこの周到さを警戒した方がいい」と警告していますけどね。
 さらに 遠藤誉さんが一番驚いたマスコミのデマというのが、習近平主席が香港国家安全維持法制定を急いだのは「香港の民主運動の気運が広東や上海に浸透して中国大陸の民主運動を刺激するのを防ぐためだ」「習近平はそれを恐れている」などと書いていたこと。実際に中国の若者に取材すると、そもそも全然民主主義に憧れていないといいます。全然ここは怖がってないということでした。


中国の若者たち「不正をするトランプ大統領や安倍首相を生んだ民主主義の何がいいの?」

さて、若者に取材すると、そもそも全然民主主義に憧れていないという話。若者たちの主張は「民主主義の何がいいんですか?」「アメリカはトランプ大統領が人種差別してるし、新型コロナウイルスより選挙優先で感染拡大し国民の健康を犠牲にしてる」「日本だって安倍晋三が税金を使って不正をしている」「香港の方が貧富の格差がひどいでしょ」といった感じです。ここらへんはツッコまれると痛い事実ではあるのですが、反論したいところ。ただ、とりあえず、今回は本題ではないのでスルーします。

 一方、作者が指摘する香港国家安全維持法を急いだ本当の理由は、マスコミが全然重視していない問題でした。香港でイギリス統治時代に使ってきたコモンローを当時の中国が認めてしまった…ということです。あまりにもマスコミが言っているのと違う話で、なんのこっちゃ?って感じですね。
 これ自体はやはり中国の悪さが出ている理由で、民主活動家への刑が激甘であるといった、中国政府にとって望ましくないところを是正するためということみたいです。これも「安倍首相だって同じようなものじゃね?」と言われると、反論できない痛いところなんですけど…。
 また、このコモンローを認めるという中国にとっての過ちを犯したのは、習近平主席の父である習仲勲さんだったのも重要だと指摘。父親のミスで起きている中国にとっての問題を、自分の代で早く解決してしまいたかあのだろうとしていました。

それでも民主主義がマシだと言える理由は、最悪の場合に取り返せる可能性


2020/08/02 前回の若者たちの主張でもう一つおもしろいと思ったのを紹介し忘れていました。「香港は2047年には必ず中国本土に完全返還されることが決まっており、それまでの間に民主や自由にこだわる意味がわからない」といったものです。
  ただ、短い間であっても民主や自由にこだわるのはそれこそ自由であり、おとなしくていなくちゃいけない理由はないでしょう。西洋側が重視しない理由でおもしろいですけどね。
 また、これは先程の間での一国二制度の説明と矛盾しそうなところ。2047年まで保証されているのは社会主義を実施しないことであり、 民主主義や自由ではないはずです。多くの中国人も一国二制度をきちんと理解していないのかもしれません。

 あと、反論したいと書いていた「それでも民主主義が良い理由」について。民主主義が独裁よりマシであるのは、指導者らがヤバイと思った場合に交代できる可能性があるということです。
 私は習近平主席も当初は強く批判しており、今でも良い指導者だとは思いませんし、中国の若者たちもかなり騙されていると思うのですが、その後、世界各地であまりにもひどい政治家がどんどん登場してきているため、残念ながらマシだと認めなくてはいけないかもしれません。ただし、これはたまたまなんですよ。可能性としては最悪の独裁政治も行われる可能性があり、 その際に交代できる可能性が高いというのが民主主義の良さだと私は言いたいです。

 ただし、これは飽くまで理想論であり、理想通りならないことが多いです。中国の若者たちが指摘するように、実際、ひどい指導者がガンガン出てきています。これは「中国の若者たちもかなり騙されている」と書いたのと結局同じで、国民が見極められていないためです。
 研究によると、政治家に限らず、我々は嘘をつく人をむしろ強く信頼してしまうことがあるとのこと。ひょっとしたら投票によって、良い政治家を落とし、わざわざ悪い政治家を好んで選んでしまっているという可能性すらあるかもしれません。ドイツのナチスやヒトラーも非常に人気がありました。
 しかし、前述の通り、最悪の場合に改善できるルートを用意しているということで、「民主主義はベストではないもののマシである」とは言えるでしょう。より良い制度があればありがたいのですけど、現状、これ以上のものがないので仕方ないところだと思われます。