2023年7月4日火曜日
人間の欲深さを甘く見すぎていた
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自民党と公明党なぜケンカ?小選挙区制見直し選挙制度改革問題
●小選挙区制は完璧でなくてもまだマシか?
これに関しては飯尾潤・政策研究大学院大学教授の以下の指摘は一理あります。
"私は、衆院は政権選択の場とし、参院は審議できる能力や経験がある人物を選択できる仕組みにすべきと考える。結論的には、衆院は現在の「小選挙区比例代表並立制」の根幹は維持すべきだろう。
政権選択の場とする以上、政党を中心に動くことが重要になるが、単純比例にすると、有権者は人物を選んで投票できなくなる。
政治家を育てていくには、小選挙区があったほうがいいと思う。そうなると、今の制度からはあまり変えられない。
しかも、きちんとした政権を作るには、衆院は選挙での勝ち負けがはっきりしたほうがいい。民主党の失敗は、連立を組み、少数政党に振り回されていることだ。
仮に衆院の選挙制度を変えると、権力の集中が足りなくなり、政権は一層弱くなるだけだ"
先のイギリスの例であるように小選挙区制も完璧じゃありませんが、比例代表制を重視しすぎると政権選択にマイナスなのは否定できないでしょう。
●参議院改革の他、憲法違反となっている一票の格差の是正も大事
いずれにしろ、衆議院と参議院の力関係を適切にするというのが焦点でしょう。
私は選挙制度改革より、優先すべきことがあると考えており、一つがこの参議院改革です。(<a href="http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-1356.html">首相公選制の意義と日本の議院内閣制の問題点</a>でも書いています)
それともう一つは憲法違反となっている一票の格差の是正です。この一票の格差の是正は、自民党に不利になる可能性が高く、彼らはこれまた熱心ではありません。
結局どちらも揉める内容であり楽な道というわけではないのですが、重要性が高いのはこちらです。政治家の方々には是非よく考えてもらいたいですし、マスコミや国民もそのことを訴えるべきです。
●憲法の改正の必要な参議院廃止、維新が公約
2012/3/5:選挙制度改革としては一票の格差是正が最優先だと思っています。一方、それとセットで議論されている小選挙区制、比例代表制などの選挙制度改革は各政党の都合が主体です。
日本の政権の不安定さの要因としては、本質的には強すぎる参議院のせいだと考えていますので、小選挙区制などの見直しに時間を浪費するのはあまり感心しません。
参議院改革については、橋下徹大阪市長の船中八策に、憲法の改正の必要な参議院廃止が入っていました。
<blockquote>維新の会、参院廃止を提唱へ 政権公約で既成政党に挑戦状
橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会が、次期衆院選に向けた事実上の政権公約「船中八策」に「参議院の廃止」を盛り込む方向で調整していることが10日、同会関係者への取材で分かった。「既成政党ではできない改革」を旗印に検討を進める構え。衆院定数削減を唱えながら協議が進展しない国政に“挑戦状”を突き付ける狙いがある。
参院廃止は八策のうち「財政再建・行政改革」分野の柱に据える。同会幹部らは参院に関し、解散がなく中長期の課題に取り組めるという理念が失われ「衆院選落選者の救済機関」になっている側面があると分析。
<a href="http://www.47news.jp/CN/201202/CN2012021001002586.html" target="_blank">共同通信</a>
</blockquote><div class="br"></div>
●地方VS中央という対立構造から抜け出せていない維新
"解散がなく中長期の課題に取り組めるという理念が失われ「衆院選落選者の救済機関」になっている"という問題点の指摘はそのとおりで、本来の理念では参議院での政党による党派争いは起こらないはずです。この指摘は良いんですけど、参議院の代わりのポジションに都道府県知事らを据えるって話がどこかであったのには気になりました。
参議院は廃止なので最初の理念も放棄なのかもしれませんが、都道府県知事の任期なら「中長期の課題」に対応するには不適切です。
日本の政治は予算の期限の一年先までしか物事を考えられない、という批判があります。さらに衆議院議員はいつ選挙があるかわからないので、結局議員は数カ月先のことまでしか思考できないとも言われます。じゃあ、海外は違うの?ってのは疑問ですけど、とりあえず、長期的な視点というのは必要でしょう。
また、これに関しては「地方VS中央という対立構造から抜け出せていない」という批判も的外れではなく、そういう意味でも視野が狭いと思います。
私がそもそも今の国会議員が気に入らないのは、「国会議員」って名前なのに地方への利益誘導を手柄にするような行為があることです。国会議員なんだから国全体のこと考えるべきでしょ。
私がもともと地方分権を支持する大きな理由として、地元への利益誘導を止めて、財源・権利を与えた上で地方のことは地方に考えさせて、国会議員は国全体の利益という視点で物事を考えるべきだというのがあります。過激過ぎて賛同は得られないと思いますけど、私は一度当選した選挙区からは立候補禁止くらいで良いと考えています。
国会議員は地方の利益代弁者である必要ではないという意味では、他の橋下徹さんの政策である地方分権はその解消にプラスに働くはずです。「地方VS中央という対立構造」は道州制の実現で、ある程度解決させるべきでしょう。橋下徹さんの維新の公約は、かなり私が賛成しているものが多かったです。ただ、都道府県知事うんぬんの話は賛成できないものでした。
●「衆議院と参議院の違い」を明確にするべき?
参議院を含めた選挙制度改革としては、以前読んだとき、<a href="http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20090809" target="_blank">国民の代表の選び方 - Chikirinの日記</a>(2009年8月9日)もおもしろいと思いました。
ちきりんさんは、「衆議院選挙では“国民が国の方向性を選ぶ選挙”ができるようにし、参議院では“少数意見と地方の意見の代表者”も取り入れるための選挙と位置づける」といった考え。
・衆議院は二大政党なるけど、法律を通すためには参院の少数意見の代表者達を説得する必要もある。だけど「リーダーシップ」は明確になる。
・「衆議院と参議院の違い」も明確になる。参院はまさに「数の論理ではなく、多様な意見を代表する良識の府」になる。
2010年の参議院選挙のときに、これとほとんど同じようなことを書いているものを読んで、その重なりっぷりに驚いたのですが、昔過ぎて思い出せませんでした、残念。当時はこれらの意見がおもしろいなと思ったのですが、今考えると結局少数意見の代表者達の説得がうまく行かないという問題は現状と同じような気がします。
理想は立派だけど、結局うまく行かないこともあるよねってのは、<a href="http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-1361.html">二元代表制のメリット・デメリット</a>で書いたケースと似ています。
●参議院を弱くして長期的視野に立つ課題をやる議会に
参議院改革の話に戻ります。とりあえず、私が今一番良いと思うのは、<a href="http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-1356.html">首相公選制の意義と日本の議院内閣制の問題点</a>でも引用した<a href="http://diamond.jp/articles/-/10559" target="_blank">【特別寄稿】前参議院議員 田村耕太郎 「政界再編も大連立も機能しない! 日本の政治を統治機構から変える究極の選択」</a>(登録要 ダイヤモンド・オンライン 2010年12月23日)です。
・衆議院の再議決の要件を二分の一にする
・参議院の役割を長期的視野に立つ課題、外交・教育・マクロ経済政策に限定させる
上は実質的な参議院の弱体化(無力化?)で、下が参議院の役割自体の限定です。方向性としては、こちらが良いかと。ちゃんと調べていませんが、このタイプは海外で近い制度があるんじゃないでしょうか?
また、強すぎる参議院=二院の力関係が大差ないというのは日本が例外的なはずです。(解散について書いたものですが、<a href="http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-192.html">イギリスなどの議会の解散</a>では両院制、二院制といった呼び名くらいは見れます)
おそらく欠点がないはずがないのでそちらも見てからですが、現在のところ私としてはそういった方向性を支持します。
ただ、<a href="http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-1281.html">小選挙区の問題点・選挙制度改革 ~小選挙区制度は失敗だった?~</a>で選挙制度改革がやってますポーズだけ書いたとおり、こういう制度改革はちっとも話が進みません。一票の格差是正すらできないのですから、ハードルの高い参議院改革なんて夢のまた夢です。最初にも書いたとおり、今は一票の格差是正が最優先ですから、まずは目の前のことに集中してほしいです。
●参議院改革をすべき…は間違い 人間の欲深さを甘く見すぎていた
2018/07/27:「選挙制度改革で政治は良くならない ~小選挙区制見直しより参議院改革を~」と「参議院改革 ~橋下徹市長の船中八策での廃止論、強すぎる参議院の選挙制度改革~」の二つの投稿を合わせました。軽く見直したものの、内容はほとんど変えていません。
ただ、今読み直すとだいぶ失敗したなという内容。今回、全体のタイトルを「選挙制度改革で政治は良くならない ~小選挙区制見直しより参議院改革を~」をベースにして、「選挙制度改革で政治は良くならない 小選挙区制見直しや参議院改革」に変えました。参議院改革にしても、政治が良くならないのはいっしょだと考え直したためです。
参議院が強すぎるのは確かではあるものの、合意を無視して独善的な政権運営をされるのはもっと困ります。私は安倍政権の「政治主導強化」を強く支持していたのですけど、まさか政治主導強化によって安倍政権に有利な捏造・隠蔽などが多発した上で、強引すぎる政権運営をされるとは予想していませんでした。
俗に言う性善説は全く信奉していなかったのですけど、それでも甘かったですね。安倍政権を甘く見ていました。こんなにひどいとは思いませんでしたわ。誠に申し訳ありません。
人間は多くの場合私利私欲に走りますので、必ずストッパーが必要なんでしょうね。そういう意味では、強すぎる参議院はストッパーになりやすく、むしろこのままの方が良いかもしません。