2023年7月21日金曜日

突然の新型コロナウイルス専門家会議廃止、安倍政権批判封じのためか?


専門家に知らせず専門家会議を廃止の無礼、与党議員すらも知らず

2020/6/30  西村康稔経済再生担当相は、新型コロナウイルスに関する政府専門家会議を廃止すると突然表明。発表することは専門家会議のメンバーには伝えられておらず、記者から質問されて初めて知った専門家会議の尾身茂副座長は、戸惑っていました。新型コロナウイルス対策に協力してきた専門家らに失礼でバカにしているといった反応が出ています。
(先走る西村担当相 根回しなく専門家会議「廃止」 与野党から「唐突」大合唱 毎日新聞2020年6月26日 20時50分(最終更新 6月27日 09時53分)より)

 また、与党にすら知らせていなかった模様。自民党議員は「事前に聞いていなかった」と不満を漏らし、公明党の高木美智代政調会長代理は、記者団に対し、与党に事前説明がなかったとし、「与党の了解の上でやってもらわないといけない」と批判しました。
(専門家会議廃止、与党からも批判続出 「経緯説明ない」 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタルより)


突然の新型コロナウイルス専門家会議廃止、安倍政権批判封じのためか?


 丁寧な説明の上で廃止して、新たな組織を作る…などでしたら、そこまで問題はなかった可能性があります。ただ、あまりにも不自然で唐突な廃止であったため、安倍政権批判を封じるためではないかといった見方が出ています。
 <専門家会議、唐突に幕 政権批判封じ?政府発表前倒し―新型コロナ:時事ドットコム>では、「あっけない幕切れには、政権批判と受け取られかねないその提言を打ち消す思惑がにじむ」としていました。不自然すぎるために、このような見方が出るのは当然でしょう。
 なお、組織変更そのものは、以前から両者で話し合いがされていた模様。専門家会議が批判の矢面に立つ事態が起きていたことはおかしな話であり、私もその是正だけでしたら賛成です。
 専門家はアドバイスはできるものの、実行は政府でないとできないことが多数あります。本来は決定権があり、対策を実行できる政府が批判されるべきことでした。こういう決定権がある責任者ではなく、決定権がない別の人の責任にされる…というのは起きがちで、例えば、会社の上司と部下の関係なんかがそうですよね。

安倍政権は新型コロナウイルスでも隠蔽 専門家会議の「無症状の人からも感染」「1年以上の長期戦」に削除要求していた


2020/07/04  専門家会議と政府との関係では、政府に都合の悪い文言の削除も行われていました。政府が文言の削除要求 専門家会議が認める|日テレNEWS24(2020/6/24)などで報じられています。
 脇田座長らは、専門家会議が3月に出した見解において、新型コロナウイルス感染拡大防止で最も重要であるはずの「無症状の人からも感染する」という情報について政府が削除を求めたこと、「1年以上の長期戦」との文言が政府の意向で削られたことを認めています。
 ただし、 尾身福座長は「政府と専門家が異なることは当然」と擁護。さらに、最終的には、専門家として客観性をもって見解を発表したと正当化していました。専門家会議内でも結構スタンスが異なっているんですが、政府批判どころか、専門家会議はこのようにむしろ政府に忖度しすぎていたところも見られましたね。
 不適切なPCR検査の基準に関する見解を放置していたことについても、現状に合わせた…といった説明をしていました。現状に合わせて不十分な状況を肯定して放置するのではなく、専門家には政府に改善を求めてほしかったんですけど…。

「『Go Toキャンペーン』には触れないように」安倍政権が新型コロナ対策分科会に圧力


 2020/08/04  政府、帰省めぐり矛盾露呈 「お盆」直前、混乱必至:時事ドットコム(2020年08月04日)は、政府内での混乱・矛盾について触れた記事。新型コロナウイルス問題を担当する西村康稔経済再生担当相と経済を優先する菅官房長官とでの対立しているのです。

<西村康稔経済再生担当相は2日の記者会見で、お盆の帰省について「慎重に考えないといけないのではないか」と表明。これに対し、菅義偉官房長官は3日の会見で「帰省を制限する、しないの方向性を述べたものではない」と行動制限の意図を否定した。だが、西村氏は同日、この後の会見で「おじいちゃん、おばあちゃんと会えば感染リスクがある。十分注意してもらわないといけない」と慎重な姿勢を崩さなかった>

 新型コロナ対策分科会では、帰省の在り方が問題提起されていました。無症状感染の多い若年層と、重症化リスクが高い高齢者の接触機会も増えるため、専門家らからは帰省による感染拡大を懸念する声が上がります。専門家と日常的にやりとりしている西村康稔大臣にも影響を与えていると思われます。
 ただ、一番記事で衝撃的だったのは、<政府関係者によると、帰省をめぐる分科会の議論に際し、首相官邸は「『Go To』には触れないように」とくぎを刺している>としていたこと。西村康稔大臣も家族旅行については「感染防止策を講じて過ごすのは問題ない」とする立場で、他の安倍内閣メンバーと一致しており、ここでの矛盾はないのですが、分科会に圧力を与えていたというのが驚き。専門家の意見を採用しない…というのはまだあり得るのですが、意見すら許さないというのはひどく、科学軽視でしょう。ヤバイですわ…。