2023年6月3日土曜日

新型コロナウイルスを改憲に利用の自民党、進化論捏造デマでも憲法改正主張

 自民党が進化論デマで憲法改正主張、学会などが誤りを指摘して批判


2020/07/02 「もやウィン」という架空のキャラクターが4コママンガを自民党が公開しました。「ダーウィンの進化論ではこういわれておる」という前置きから、「最も強い者が生き残るのではなく 最も賢い者が生き延びるのでもない」「唯一生き残ることが出来るのは 変化できる者である」として憲法改正の必要性を主張しています。
 たとえ進化論の理解が正しかったとしても、これは問題あるものでしょう。生物の進化と憲法改正は関係ありません。ただ、そもそもこの進化論理解が間違いでした。専門家からは「ダーウィンはそんなことは言っていない」「撤回するべきだ」などの批判が相次ぎぐことになりました。英ケンブリッジ大などによる研究班「ダーウィン・コレスポンデンス・プロジェクト」によると、自民党のこの説明は誤用例として有名だそうです。
 (進化論誤用は「分かりやすくするため」 批判に自民見解:朝日新聞デジタルより)
  日本人間行動進化学会も誤りを指摘。「生物進化がどのように進むのかの事実から『人間社会も同様の進み方をするべきである』とする議論は間違いだ」「為政者に誤用されてきた苦い歴史がある」「(政治的主張は科学的知識を誤用して行うのではなく)個人や団体の信念として表明するべきだ」とも批判していました。
(「自民党が言う進化論は間違い」 学会が反対声明:東京新聞 TOKYO Webから)


お前らが変化できる者になれよ!自民党、捏造を「わかりやすくするため」と正当化


 さらに問題だったのは、朝日新聞が批判への見解や、今後の対応を聞いたところ、自民党の広報本部が「憲法改正について、国民の皆様にわかりやすくご理解していただくために、表現させていただきました」と回答していたことでしょう。 
 この言い訳で許されてしまうと捏造デマがやりたい放題。すべて正当化できてしまいます。反則的な無敵の言い訳ですね。右派にとって困る間違いでも、「わかりやすくするため」と言えば、これからは許してもらえるんでしょうか?
 右派の人に限らないのですけど、特に右派の人はこういう風に「謝罪できない」「間違いを改められない」ということが多い気がします。それこそ「お前らが変化できる者になれよ!」という話ですわ。

新型コロナウイルス感染拡大も改憲に利用、安倍晋三首相など自民党議員で発言相次ぐ


2020/07/05 何でもかんでも改憲に結びつける…というのは、右派ではよくあることで、新型コロナウイルス問題でも対策そっちのけで憲法改正に利用しようとする人がいました。
  例えば、憲法記念日の2020年5月3日、安倍晋三首相が改憲派のオンライン集会に寄せたビデオメッセージで、緊急事態条項の新設に向けた議論を与野党に促しています。新型コロナウイルス危機に便乗した発言です。
  自民党内ではコロナ危機後、緊急事態を巡る改憲論議を提唱する発言が続いています。自民党内では外出禁止をはじめ私権制限を可能にする規定の必要性を唱える意見が出ているそうです。
  感染拡大防止策の遅れや不備の原因が現行憲法にあるかのような議論に、立憲民主党の枝野幸男代表は党ホームページ上の動画で「(現行)憲法の制約でやるべきことができないということは全くない」と指摘。野党だけでなく与党でも 公明党の斉藤鉄夫幹事長が、私権制限について「現憲法下でも十分可能で、法律の話だ」と安倍首相の主張を否定していました。
 (<新型コロナ>改憲へ焦り、コロナ利用 首相が初言及 緊急条項、新設訴え:東京新聞 TOKYO Web 2020年5月4日 02時00分 より)

コロコロ変わる安倍首相の改憲メッセージ、唯一変わらない安倍首相が憲法改正で本当にやりたいこととは…?


2020/07/12 何 でもかんでも憲法改正に利用というのは、先の東京新聞による安倍首相のメッセージ分析からもわかります。 安倍首相が2017年から改憲派のオンライン集会に寄せたメッセージはコロコロ変わっています。
  自民党は2018年3月に改憲四項目をまとめているのですが、首相が触れる項目は一部だけ。今回、緊急事態条項について言及しましたが、これは初めてのことでした。4項目のうちの一つ教育の充実は2回言っているものの、今年はなくてまちまち。結局、憲法改正に利用しているだけで、本音ではそれほど興味ないのだと思われます。
 一方で、毎年必ずしっかり言及している項目もありますので、安倍首相がガチでやりたいと思っていることなのだとわかります。ただ、実はこれ、「憲法九条への自衛隊明記」というものなんですよ。結局、安倍首相がやりたいのはこれだけなんですね。新型コロナウイルスは利用しているだけで対策なんか興味なし、国民のことは何も考えていないのだと思われます。

安倍政権大好きな産経新聞すら「党利のため」と批判する自民党の憲法改正のめちゃくちゃさ


 2020/07/19  前述の自民党による改憲四項目。「憲法九条への自衛隊明記」以外では、「教育の充実」や「緊急事態条項」については安倍首相はそのときどきで言ったり言わなかったりで、利用されているだけ…という話をしました。
 一方、全く安倍首相が言及しない「合区解消」。これはなんだ?と思って検索したら、なんと安倍首相大好きの産経新聞が批判するほどまずいものだった模様。という記事が出ていました!
 記事によると、まず、自民党の改憲条文案の「合区解消」というのは、参院選で2つの県を1つの選挙区とする「合区」を解消し、各都道府県から1人以上を選出できるようにするというもの。また、衆院選では市区町村が複数の小選挙区に分割される区割りを防ぐものだといいます。
 これ、賛成する人が結構多いものですね。都道府県代表を出すべき!という人は結構います。ただ、これ、憲法14条の「法の下の平等」に反するんですよ。これをやってしまうと、人口の少ない地域の人の1票の価値が大きくなり、人口の多い地域の人の1票の価値が小さくなるという差別的なことになります。一票の格差是正を目指すのではなく、一票の格差拡大を目指すというのは予想外の行動でした。産経新聞も以下のようにこの点を問題視しています。

<衆参とも一票の格差が拡大してしまう。憲法14条の「法の下の平等」との整合性がとれるのか。はなはだ疑問である>
<地方で暮らせば一票の価値が重く、大都市部なら軽い自民案のような制度は許容しがたい>

 自民党は差別を是正する「合区」にはそもそも反対しており、当時、地方の声が国政に反映されにくいということを大義名分にしていた模様。ただし、これは、単に自民党が選挙に強い地方の議員数を維持し、苦手な都会の議員を増やさないように…という身勝手な動機が本当の狙いだと思われます。
 これもまた産経新聞が指摘していてびっくろ。<合区対象県には自民党の強固な支持基盤があるという現実を前に、党利を図っているとみられても仕方ない>と切り捨てています。