2023年6月9日金曜日

事故防止を訴える怖いコマーシャル(CM)に効果はあるのか?

 そのCMに“怖さ”は必要? 意外と多い「国内外の怖すぎるCM」(クランクイン! 取材記事・エンタメ(2014年8月17日00時00分))によると、"アイルランドの交通安全を訴える公共機関DOE Road Safetyが制作した『Classroom(クラスルーム)』"は、あまりにも怖すぎるラストに、21時過ぎまで放映禁止となっていたそうです。

 内容は、"学校の授業で自然豊かな公園にやってきて、楽しい時間を過ごしている子供たち"に、"スピードの出しすぎでコントロールを失った車が"突っ込むというものでした。
 制作したDOE側は「子どもを殺すかもしれないという不安で、何人かはスピードの出さなくなるかもしれない。だから、あのような残酷な描写を使ったのだ」と説明しています。しかし、"無謀な運転をするような若者が、このCMに影響を受けるか疑問だという声も上がっている"ようです。


 このCMそのものの効果は、実を言うと不明。一方で、きちんと調査データがあったのがカナダのオンタリオ州職場安全保健局が制作した『there really are no accident(偶然起こった事故ではない)』です。
 こちらの内容は、"管理さえしていれば防げたはずの職場での事故について、今まさに事故に合う人や、体に鉄の棒が刺さったり、腕をプラプラさせたりした状態の人が「これは偶然の事故ではない」と説明する"という、やはりショッキングなものです。
 聞いているだけで体がうずきますが、このコマーシャルの放送後の2006年にオンタリオ州で発生した職場での事故の件数は減ったでしょうか?

(1)目論見通り減った
(2)優位な差は現れなかった
(3)全くの逆効果で顕著に増えた


答え:(1)目論見通り減った

 "放送後の2006年にはオンタリオ州で発生した職場での事故の件数は減少"しました。"人口1200万人当たりの職場での死亡事故は101件"であり、"ペンシルベニア州やイリノイ州の半分以下"となったそうです。本当に効果があるものなんですね。
 ナダのオンタリオ州のCMの場合、単にショッキングというだけでなく、管理さえしていれば防げたはずの職場での事故について説明 するということで、論理性もあった感じ。子供を轢き殺すCMとはちょっと違いも感じます。 
 交通事故のコマーシャルでも、カナダのCMと同様に比較研究した結果を知りたいところです。